生きた化石!? つくしを観察してみよう

春の訪れとともに土からひょっこり顔を出す「つくし」。まるで土から筆が生えたみたいに見えるので「土筆」と書かれ、昔から親しまれてきました。今回はつくしをじっくり観察してみましょう。

つくしって、そもそも何?

図鑑に「つくし」という植物はのっていません。実は、つくしは「スギナ」というシダ植物の一部分。そして、つくしとスギナは地下茎で繋がっています。

つくしの役割は、胞子を飛ばして仲間を増やすこと。1週間ほどでニョキッと伸びて胞子を飛ばすと、つくしは枯れます。つくしが枯れ始めると、今度はスギナがぐんぐん育っていきます。

スギナは秋ごろまでフサフサと生えています。スギナがある場所には春になるとつくしが生えるので、見かけたら場所を覚えておくといいですよ。

つくしはどこに生えている?

都内近郊では3月中旬〜がつくしのシーズン。多摩川・江戸川・荒川の土手や街路樹の下、田んぼ脇などをよく見てみると、つくしを発見できます。日当たりがいい場所には沢山生えています。

土手でも生態系保護のため植物採集が禁止されている場所もありますが、制限されていない土手であれば個人が消費する範囲の採集はOKだそう。お出かけついでにつくしを探してみましょう。

つくし摘みにチャレンジしよう!

向かったのは多摩川の土手、最寄り駅から徒歩3分ほどの場所です。

日当たりのいい斜面で目を凝らしてみると、つくしを発見!

目が慣れてくると次から次へと見つかります。子供も大人も夢中でつくしを探します。

通りがかる人も「つくし、苦味があって美味しいですよね〜」と言いながら摘んでいました。

一箇所だけでこんなにどっさり。時期と場所にもよりますが、今年は大当たりです。

胞子を観察してみよう!

つくしを持ち帰ったら観察してみましょう。長さ順に並べると、つくしの成長の様子が分かります。

先っちょの部分だけ比べてみると、長いものは先が開いているのが分かります。

開きかけたつくしの中をよく見ると、緑色なのが分かりますか?

マクロレンズをつけたスマホでじっくり観察してみると、中にふわふわした緑の綿のようなものが見えます。これが胞子です。

紙に落としてみると、粒がよく見えます。

胞子は乾くと手足のようなものが伸びてきて、風に飛ばされやすくなります。つくしを摘む瞬間にブワッと胞子が飛ぶのも納得ですね。

つくしを食べてみよう!

せっかく採集したつくしは、美味しくいただきましょう。

つくしは下処理が肝心です。まず水にさらしてしっかり洗ってから、「はかま」と呼ばれる部分を取っていきます。

地道な作業で、かなり時間がかかりますが、そのまま食べると固いので根気よくとっていきます。(子供たちは途中で飽きてしまいました…)

はかまが取れたらもう一度水洗いしてから、小さじ1杯の塩とお酢を少々入れたお湯でさっと茹でます。30秒くらいでOK。

すぐに冷たい水で冷ますと、茎が赤色に、先が閉じたものは先端が緑色に変色します。触った感じもキュッとして美味しそう!

苦味が苦手な方は長く水にさらすと苦味が取れます。

これで下処理はOK。このままお浸しにしてもよし、甘辛く煮た佃煮や、つくしご飯など、いろいろなレシピがあるので、春の味覚を楽しんでみましょう。

つくしは生きた化石!?

「生きた化石」と言われるつくし。スギナの祖先は今から約3億年前の古生代に繁栄していました。なんと、当時は高さが30mもある種類もあったそうです。(参考 「しぜん キンダーブック 2013年3月号/つくし」

こちらはスギナの祖先の「ロボク」の化石。太いですね!もしかしたら電柱みたいにニョキニョキ生えていたのかもしれません。

体は小さくなったものの、基本的は作りはほとんど同じ。3億年前には大きな葉っぱを広げる植物はまだなかったため、スギナの体もほとんどが茎と枝からできています。

恐竜は鳥に進化して生き延び、つくしは小さくなって生き延びた・・・何だかロマンがありますね〜


時期限定のつくし。身近な存在ですが、学べることが沢山あります。思いもよらない場所に生えていることも多いので、お子さんと一緒に足元を探してみてくださいね。

さあ、明日は何して遊ぼうかな?